秩父のお花を楽しむ金曜日「藤袴」花金ep.23
- 2017/10/20
- 更新日 2017/10/19
- 連載
- 1988
秋の七草でもある藤袴(フジバカマ)。
ちょっと控えめで、可愛らしいお花です。
咲くことをためらうとは
まるで少女のように可愛らしく控えめに咲く「藤袴(フジバカマ)」。
注目を集めるような派手さはありませんが、
そっと佇む姿はどこか切なく、センチメンタルを掻き立てます。
そんな藤袴の花言葉は「ためらい」。
藤袴は小さな花を少しずつ咲かせるので、
その様からつけられた花言葉だといわれています。
咲くことをためらうお花、とは物悲しいですね。
さて、私たちはどうでしょう。
叶えたい夢、憧れの環境、理想の自分、すきなひと。
全力で向かっていくことを
ためらってしまうことはありませんか。
本当は手に入れたいけれど、何か理由があって出来ずにいる。
熱心に、夢中になることを諦めている。
その理由は何でしょう。
面倒くさい、傷つきたくない、時間がない、私には不釣り合い。
みんなには何を言われるだろう。
もし、あなたが心から望むものがあるのなら、
それは親しいあの人も知っています。
言葉にしなくても、自然と伝わっているんです。
私たちが藤袴に感じるように、
ためらうあなたの姿を見ている親しいあの人も
きっとやるせなく感じているはずです。
私たちは決してひとりではなく、
大切な誰かと生きていることを思い出しましょう。
あなたのためらう理由は何ですか。
本当に手に入れたいのなら、
ちょっとだけ歩き出してみませんか。
近寄りがたいほどの美しさ
藤袴という名前がつけられた理由として、こんな逸話があります。
むかし、静かに秋雨の注ぐ夕暮れの野辺を、
美しいお姫様が歩いていたといいます。
泣きながら彷徨うお姫様に、村の人々は気づいたものの
あまりの美しさに近づくことさえできませんでした。
一夜が明け、雨も上がるとお姫様の姿はどこにもなかったといいます。
しかしそこには、薄紫色の可憐なお花が咲いていました。
人々は、お姫様が履いていた花蔓で織られた袴を思い出しながら考えました。
「お姫様は、この花の精霊だったのか」
そして、この薄紫色の可憐なお花を”藤袴”と名付けたといわれています。
藤袴の花言葉には「あの日を思い出す」や
「優しい思い出」というものもあり、
これらの言葉はこの逸話によるものでしょう。
お姫様は泣いていた、誰も近寄らなかった、など
少し切ないエピソードが藤袴の雰囲気を醸していますね。
涙を流す時には、遠くから眺められるのではなく
思い切り抱きしめてもらいたいですが、
美しくて近寄れなかったんだ、なんて言われたら
それ以上は何も言えなくなってしまいそうです。
藤袴について
見ごろ :9月~11月
花言葉 :ためらい・あの日を思い出す・優しい思い出
撮影場所:秩父ミューズパーク
写真提供:岩間 秀朗